日々躓きながらも留学するBlog

アメリカ留学にまつわるetc.

日本のラボとの違い雑感

アメリカで研究を始めて2ヶ月が経過しました。私は日本でこれまでに4つのラボに在籍していたことがありますが、それらとの研究体制の違いなどで現時点で感じていることを書き留めます。

 

1. 時間の使い方がすごくフレキシブル

研究職はフレキシブルな方が動きやすいですが、それにしても自由です。ボスからして大学に来ない日が結構多いです。ただし、ラボから離れていてもどこでも研究は進めるようという意欲を強く感じます。日本での私の身の回りには、「On/Offをハッキリさせてメリハリをつける」という言葉を、人によってはラボ外では全く研究しないという意味にしている場合がありますが、それより遙かに効率が良いと思います。

また、良くAirPodsなどを使って遠隔で議論しています。実験しながらでも。音声入力もガンガン使っています。アメリカで私がいるラボは、同一フロア内に6つのラボがありますが、見ていると所属外のラボでも同じ様子です。研究のスピード感はまるで違います。

 

2. フレンドリーだけど、自身の研究を優先するのは忘れない

自分のラボも周りのラボも良く笑い声が聞こえます。アメリカでの生活についてよく言われる、どんなことでも口に出してはよく笑います。アメリカ流コミュニケーションというやつでしょうか。ただし、雑談している時間は長くはなく、談話中でも用事があればすっと抜け、周りを良い意味で気にしないです。

また、色んな事を聞けば親切に答えてくれるし教えてもくれますが、極力個々の実験の時間を削って手取り足取りということはしません。たとえ学生相手でも、手短に話を終わらせることが多いです。あくまで自分の実験の一環としてやっている感じです。

 

3. 機関としてのマニュアルは詳細

大学全体としてはオンラインシステム、トレーニング、テスト、リクエストフォームなどなど色々機能的です。ただ、ラボレベルで見てみると、個人個人の裁量に任されていて、人依存なところが大きいです。つまり、この人が抜けるとこの系は立ち回らないなというのがたくさんあります。個々のラボメンバーがラボの何か掴んでいるものがないと、居なくてもどうにかなると考えられる側面があるのかもしれません。お陰で外から来た人は誰が何を把握しているのかを知るところから始めないといけないので、スタート時点の研究効率は悪いです。このやり方だと、ラボへのノウハウの蓄積が難しいですね。

 

4. ラボ間での機器使用に寛容

皆、機器の電源を消すことをしません。水銀ランプなどの消耗品を除いて、夜でも休みでもずっとするほぼ全ての機器がつきっぱなしです。

そして、他ラボの機器を使用させてもらうことに寛容で、空いてさえいればどんどん使わせてくれます。アクセスが容易というのは素晴らしいです。もちろん、互いにきちんと使うが徹底されてのことですが(と言っても、日本ほどきれいには使っていない)。大型機器になるとFacilitiy化していて、システム上で予約してお金を払って使用することになります。これはこれで研究費さえあれば、オペレーターが色々と手伝ってくれるので楽だし勉強になります。日本でもこういう制度はありますが、より洗練されていてより高機能な機器が多数揃っていると感じます。

 

5. 納品が早いし安い

日本で海外の品を頼むと輸入代としてなのか、アメリカやヨーロッパ諸国で買うよりも倍くらいの値段がします。それがないので金銭感覚が変わってしまうのと、とにかく納品が早くて、例えばATCCから細胞を買っても一週間で届くとかは素晴らしいです。この点も研究のスピード感に寄与していると思います。

 

他にも色々ありますが、とにかくこちらでの研究はスピード重視で進んでいます。日本の方が細かいことは洗練されていて良いのですが、それはどうでもよいと思えることに時間を使わなければならないのが辛いですね。